
Photoshopでデータを作成している際に、「どうにも処理が遅いな」と感じ、確認してみたところ、とんでもなく重いデータになってしまっていた・・・という経験をお持ちではありませんか?適切な処理を施し、ファイルサイズが軽減されたデータは見易く、作り手にも受け手にも良い影響を及ぼします。たとえば、やり取りがスムーズになる、印刷やデータ上の事故が起こりにくい、何より精神衛生上よろしい、などなど、多くのメリットが生まれます。
今回は、Photoshopのファイルサイズを減らすための、ちょっとしたテクニックをご紹介します。
目次
■単色レイヤーを最前面に配置
レイヤーの最上部に単色カラーレイヤーを配置するだけで、ファイルサイズを軽減できます。
これはファイルサイズを軽くするひと手間として、もっとも単純明快であり、手軽な小技だといえるでしょう。
しかし、塗りつぶしたレイヤーを最上部に配置することで、ファイルプレビューが単色になってしまう点には注意が必要です。ファイル名を工夫したり、データを受け渡しする際にだけ使ったりと、お好みでご使用ください。
また、すべてのレイヤーを非表示にしても同様の効果を得ることが可能ですが、レイヤー数が多い場合はファイルの管理が煩雑になります。データの状況に応じて使い分けるのがよいでしょう。
■適切な解像度・画像サイズに修正する
デザインに使用する画像は、小さすぎても使えませんし、大きすぎてもファイルサイズが大きくなり、処理に負担をかけます。大は小を兼ねますが、過ぎたるはなお及ばざるが如しとも言います。
この場合、正解は後者です。画像は適切な解像度、サイズで使用しましょう。
オーバーサイズしている分を切り取るのも忘れてはいけません。
カンバスの外にあるデザインパーツも、不可視でありながらしっかりファイルサイズ増大に貢献してしまっています。
デザインはカンバス内で解決し、常に適切な解像度・サイズの画像を用意する癖をつけることで、送り手にも、受け手にも優しいデータ作りができるようになります。
■未使用オブジェクトはしっかり処理する
制作過程で生じた直接の表現には必要ない不可視の、または下部レイヤーに隠れているようなオブジェクトは、削除してしまいましょう。
「もしかしたら使うかも」は、往々にして使用しないものです。心配な場合はオブジェクトを削除する前に、別バージョンとして保存しておきましょう。
オブジェクトを処理する行為は、データを綺麗にする行為でもあります。
ファイルサイズを軽減する以外にも、受け手の負担を少なくする効果があります。
見やすいデータはファイルサイズも少なくなる。受け手の負担も軽くなる。まさに一石二鳥ですね。
■必要に応じて適切なレイヤーの結合をする
受け手がデータを弄る必要がない、または印刷の段になったならば、積極的にレイヤーを結合することで大幅なファイル容量の削減が可能です。
レイヤーを結合することで、データ自体も整理整頓されるため、確認・印刷事故の確率を低減できるのもメリットです。
ただ、修正の可能性がある箇所については、必ず結合前にバックアップを取る、または結合しないなどの手段を講じておかないと、思わぬトラブルが発生する可能性がありますので、注意しましょう。
校了・印刷寸前になって「やっぱり修正してほしい(しかも大規模な)」という注文は、よくあることです。
■スマートオブジェクトを使いすぎない、ラスタライズする
作業の最中は「とりあえず…」と何でもスマートオブジェクト化してしまいがちですが、便利な機能ゆえ、容量を食ってしまうものです。
必要のないオブジェクトはスマートオブジェクト化せず普通に使用する。そして、変更が無い場合はこまめにラスタライズすることで、ファイルサイズを軽減することができます。
しかし、これもレイヤーの結合と同様に、修正の有無や利便性を考えつつ、スマートオブジェクト化する、しないを検討するべきでしょう。
要は状況に応じて、適切なデータの形式を取れば、自然とファイルサイズは軽くなり、整理されてゆくのです。
■軽いデータは見易いデータ、見易いデータは良いデータ
繰り返しになりますが、軽いデータは見易いデータであり、見易いデータは良いデータです。
これは、机の中の引き出しを想像していただけるとわかりやすいでしょう。
どこに何があるかわからなくて、必要のない物がごっちゃになっている場合、必要な物を探し出すには時間がかかります。これは煩雑で、ファイルサイズが重いデータのようなものです。
逆に、どこに何があるのかひと目でわかり、必要なものをすぐに取り出せるように準備された引き出しは、単純明快かつ、見易く整理されたファイルサイズが軽いデータのようなものです。
繰り返しになりますが、制作時に重要なのは受け手(クライアント、他のデザイナーはもとより、印刷所の方にも)のことを考えて、データの構造を考えることです。そうすれば、自ずとファイルサイズも軽くなります。何より、自分も見易く、扱いやすくなります。
「ちょっと重いな、見辛いな」と感じたら、ぜひご紹介したテクニックを利用してみてくださいね。