前回までの基礎編では、基本的なポートフォリオの制作方法をまとめました。
いよいよ今回は面接の場へ向かいましょう。自身の分身でもあるポートフォリオをどのように面接官へ見せるのか?損をしない、失敗しない、基本的な心得を解説します。
目次
■あなたは常に見られています
作品面接で企業の担当者があなたの作品を見ている間、担当者はポートフォリオだけを見てはいません。ポートフォリオと同時に「プレゼンをしているあなた」を見ています。
通常のデザイン作業においてもデザインワークの後に上司やクライアントへプレゼンすると思います。
ポートフォリオにおいても冊子だけで終わりにはなりません。「ポートフォリオの内容をどう説明し伝えるか」ここが重要です。
だからと言って緊張する必要はありません。堂々と落ち着いてプレゼンしましょう。ただし一方的に喋っているだけでなく相手との駆け引きを忘れずに、「場」を読んでください。
■逆に見る練習(逆さまリハ)
多くの場合、面接は向かい合う机で行なわれます。そのため、机の向こう側にいる面接官に対してポートフォリオを見せると、あなた側からは逆さまに見えます。
他愛もない話のようですが、実は重要なポイントです。
緊張していたり、話が長引いた時、逆向きの作品をパッと指し示せない方を多く見かけます。中には逆ページにめくってしまう方もいます。そこまでは順調だったプレゼンが、一気に流れが悪くなる可能性があります。
ポートフォリオを逆さから見る練習は必ずしておきましょう。
■話のスピード、間、声の大きさ
一般的に話すスピードを上げると知的な印象を与えると言われています。しかし、早口すぎる解説はせっかちで落ち着きがないような印象も受けます。
アセることはないので「自分本来のスピード」で話してください。また、重要な箇所では「意識してゆっくり明確に」話をすると良いと思います。
立て続けに話し続けてしまうと、ポートフォリオの構成で意識したリズムが活かされません。
緊張した場で「間」を空けるのはなかなかに難しいですが、例えば、筆者は話し出す前に小さくうなずいたりします。その他にも、「ページをめくった後は一呼吸おいて」説明を開始するなど、自分なりに「間」を意識できるルーティンを作りましょう。
声の大きさは各人それぞれで良いのですが、普段から声が極端に小さな人は大きな声で話す練習をした方が良いかもしれません。声の大きさで損をすることは確かにあると思います。例えば、話の内容に自信がないと感じさせてしまうといったマイナスが考えられます。
■強調するためのキーワード
面接で使う言葉は使い慣れた言葉が良いでしょう。使い慣れない専門用語を列挙する必要はありません。あくまで実感がある言葉を使いましょう。ボキャブラリーが少ないと自覚がある人は、作品毎に「強調したいキーワード」をあらかじめ決めておいて練習しておくのも効果的です。
どのデザインを説明するときでも「ユーザー目線で」「インパクト重視で」などを繰り返されては、聞き手が実感を共有できません。
言葉を探すのには「同義語検索」などが頼りになります。
(ほんの一例)
・ユーザー目線:使う立場で、利用者の気持ちで、使用する身になって、など
・インパクト重視:ショックを与える、登場感を重んじる、見た目を先行、など
■アイコンタクト
面接官を目を合わせて話をする・・・アイコンタクトが負担な人もいるでしょう。
ただ、ここは頑張って欲しいところです。。。なんとか勇気を出して相手の目を見て欲しいです。そして目が合ってもすぐに視線を外さずに、早口で良いので「5」を数えてみてください。目線を全く合わせない人と比べると、全く違う印象を与えます。
■ウソはダメ
今さら言うこともないですが、ウソはダメです。道義的な話は別にして、何人ものデザイナーを見て来た面接官はデザイン力のウソを見抜けるからです。
こんなデザイナーがいました。すごくデザインレベルの高い作品を「上にADはいましたが、ほとんどチェックなしで自分1人で仕上げました」と。その後のページでかなりデザインレベルが低い作品にも同様のことを言いました。
どう見ても最初の作品を作ったデザイナーは後の作品は作りません。彼にはその2つ作品の「レベルの差」が見えていなかったのです。チーム内での自分の役割も同じですね。話していればアシスタントなのかデザイナーなのか、あるいはディレクターなのかは見えて来ます。
■対面用と発送用
可能であれば、面接で対面で説明する用のポートフォリオと、書類選考時に提出する用のポートフォリオを別々に準備しましょう。
対面用ポートフォリオは、面接時に自分が話をしながら説明しますので多くの説明書きは必要ありません。しかし発送用ポートフォリオには説明が必要になります。要点を、くどくならないように簡潔にまとめましょう。
■プリントやクリアフォルダの汚れ
最後に、瑣末なようで大きな影響がある話です。
面接を繰り返しているとクリアフォルダのシートが細かいシワで白っぽくなります。少しずつなので見過ごしがちですが、初見の面接官には気になることがあります。たまに確認をしてみましょう。
プリントの紙も同様です。特に出し入れをしているとシワが目立ってきたり、折り目がついてしまっていることもあります。
今回は、「見せ方・伝え方」をお話ししました。
面接官が「この人と一緒に働きたい」と思えば成功です。そこを目指して「作品とあなた」を伝えるようにしましょう。
また、同時にあなたも相手企業をよく見て来てください。最近の仕事内容などを質問し、入社後をイメージすることも重要です。
次回はいよいよ最終回。作り方の応用編として、1つ上を狙うポートフォリオについてお話しします。
【全5回連載】
【第1回】 ~まず始めに~
【第2回】 ~作り方:基本編(上)~
【第3回】 ~作り方:基本編(下)~
【第5回】 ~作り方:応用編~~
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