【ポートフォリオの作り方 第1回】まず始めに~大手外資代理店の元スタジオマネージャーが解説!

【ポートフォリオの作り方 第1回】

デザイナーをはじめ、クリエイターの転職に必ず必要となるポートフォリオ。これが正解!というものがなく、かつその人のセンスが大きく問われるため、選考にも大きな影響があります。
そこで、大手外資系の代理店にてスタジオマネージャーを務められていた方に、ポートフォリオの作り方・見せ方のコツを解説していたきます。採用における面接・選考も担当されていましたので、採用側からの視点もお聞きしました。
なお、週1回更新の全5回を予定しています。今回は第1回、ポートフォリオを作る前に押さえておきたいポイントです。

なお、今回の『ポートフォリオの作り方』は、実務経験のある方を対象に転職用のポートフォリオについての解説です。
学生の方の就職活動用のポートフォリオについては、美大芸大就活ナビ・ポートフォリオ診断でご相談ください。

 

ポートフォリオの主役は『あなた』

デザイナー、クリエイターの就職活動では欠かせないポートフォリオ。
皆さん工夫して制作していると思います。しかし、案外ポイントを外してしまっている方がいるように感じています。

まず最初に、採用側としてこうあって欲しいと言う基本的な考え方、取り組み方をお話しします。

就職の面接の時、主導権を握っているのは誰でしょうか?
言うまでもなく企業側の面接官の方ですね。

では、ポートフォリオでは?
もちろん全体時間や質疑応答は面接官がハンドリングします。しかし、ポートフォリオ自体の見せ方、展開はあなたが握っています。ポートフォリオはそれ自体がプレゼンテーション。そして、そこでの主役はそれをデザインしたあなた自身です。

 

良いポートフォリオ、悪いポートフォリオ

『良いポートフォリオ』とはどんなものでしょうか?
それは、採用側が興味を持って見続けてくれるものです。

具体的にどんなものか、それを考える時に逆の『悪いポートフォリオ』、つまり「採用者がもう見たくない」と感じてしまうポートフォリオを想像すると参考になります。

筆者がデザイナー採用で年間に100人以上の方を面接していた時、実に様々な方が様々なポートフォリオを持って面接に来ました。中には失礼ながら「あぁ、これ以上これを見たくないぁ」と思えてしまうものもありました。残念なのはデザイン力が高いのにポートフォリオにそれが活かされていない方々です。

多かった悪い例をいくつかあげてみます。

・同じようなデザイン作品ばかりが繰り返し掲載されている
・フォーマットがうるさくて、主役の作品が見づらい
・メディアやツールの種類が分かりづらい
・メリハリがなくいつまで続くか分からない
・プリントやクリアフォルダが汚い
・本来のデザインの色が分からない

どれもデザイナーであれば当たり前に解決できそうなことばかりです。
しかし、皆さん作っているうちに知らず知らず同じような過ちを重ねているのでしょう。それが貯まるとかなり残念な仕上がりになってしまうのです。

次回以降で、具体的にこれらの解決方法も踏まえて『採用側が気に入るポートフォリオ』の作り方を具体的に解説していきます。その前に、今回はもう少し心構えのお話しをしましょう。

 

完成までの道のり ~いきなりエベレストに登らない~

「ポートフォリオは1回ですぐには完成しない」
これを覚えて欲しいと思います。

デザインと言う作業では、完成を想定したゴールに向かって計画を進めて行きます。しかし、ポートフォリオに関して言うと、必ずしもそうはならないのです。
「何度も何度も作り直して完成へ一歩づつ近づく」イメージです。

「いきなり理想のポートフォリオを目指さない」がポイントです。

まずはA4サイズのクリアフォルダから始めましょう。他の人と差別化した見栄えの良いポートフォリオを作るのはA4のクリアフォルダで充分可能です。

自分の趣向を凝らしたデザイン・ポートフォリオは次のステップ、A4クリフォルダである程度満足いくものができてからにしましょう。A4クリフォルダでできることはまだまだたくさんありますよ。
一般的にいきなり大計画を立てると、人は今日から始めません。明日へ明日へと延ばす人が多いようです。筆者もそうです…。ポートフォリオは1日でも早く手にしたい就活ツールですから、1日も早く着手したいものです。

それに、プロデザイナーもデザインを勉強中の学生も、日々の作業でどんどん新しいデザイン成果物を生み出していることでしょう。今・今後制作するものも全部含めて「このページにあれを」「こっちにはあの作品を」などとやっていると計画自体がなかなかスタートができません。そうすると就職活動も遅れがちになります。
まずは今ある作品で制作をスタートしましょう。

まず作り始める。そして完成させる。そして修正。また完成、また修正。これを繰り返して行きましょう。
『いきなりエベレストを目指さずに高尾山あたりから始めよう』と言うことですね。

 

受験企業とのマッチング

最初にお伝えした通り、ポートフォリオはプレゼンテーションですので相手企業に向けた最適な仕上がりが当然です。ところが、一度完成するとどんな企業へも毎回同じポートフォリオで向かう方がいます。
これは好ましいとは言えません。

受験企業に合わせアレンジしてください。もちろん、相手が望む作品が目立つように。
パッケージデザインばかりのポートフォリオをアドバタイジング・プロダクションへ持って来られても、なんともジャッジに困ります。

 

第一回目としてまずは基礎知識をお話ししたつもりです。いかがでしたでしょうか?
一番大切なのは計画ばかりでなく作り始めることです。早く作ればそれだけ自分に合ったクリエイティブワークへの就職も早くなるのですから。

次回からの具体な作り方を読んで、ぜひいい仕事をゲットしてください。

【全5回連載予定】
第2回【ポートフォリオの作り方】基本編(上)
第3回【ポートフォリオの作り方】基本編(下)
第4回【ポートフォリオの作り方】見せ方・伝え方
第5回【ポートフォリオの作り方】作り方:応用編

 

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