今回は、デザイナーとして正社員、派遣社員、そしてフリーランスの経験もあるCさんにお話をうかがいました。これまで、扶養の範囲を出たり入ったりするのを繰り返してきたといいます。現在、4歳と1歳の2人のお子さんの育児中。フリーランスで活動しつつ、第2子を授かったことで社会保険に入りたいと思い、一昨年からはデザイン事務所で契約社員として働いています。会社での仕事は、雇用保険の加入要件をぎりぎり満たす週20時間です。
―これまで、扶養の範囲を出たり入ったりしてきたということですが?
Cさん:はい。最初は結婚前、親の扶養に入っていました。デザインの専門学校と両立するため、週3日ほど派遣で働き始めたのがきっかけです。
地方に住んでいるので、会社へ行く時はしっかり働き、行かないときは行かないと分ける方が、都心への通勤に毎日時間を費やさなくてすむというメリットが大きいんです。その後、正社員になったこともありますが、結婚後も家庭生活と仕事を両立するのに、派遣で週何日かだけ仕事に行くというスタイルを再び選びました。
―なるほど!学校へ通いながら働いて親の扶養に、結婚後は、夫の扶養の範囲内で仕事をして、そして、子どもができた現在にいたるというわけですね。
Cさん:そうです。育児に加えて、フリーの仕事をする時間をとるためにも、最適な働き方かと。
―それが最近は、扶養の範囲外だけど、雇用保険に入れるラインである週20時間だけ、デザイン事務所で働いていると。一般的には、そのラインだと、扶養の範囲内におさえるより「働き損」が出るとして、避けられるところじゃないでしょうか?
Cさん:フリーの仕事の収入の予測がつかないので、扶養内におさめたくても実際、難しいんですよね。もしもフリーの仕事がなかったとしても、安定がほしいので、雇用保険に入ることのできる時間の最低ラインに調整したわけです。
現に、これまで派遣で働いていたときにも、年末、最後の最後に繁忙期が重なって、どうしても出社せざるをえなくなり、扶養内に収めることが大変だったこともありますし。そこまでして扶養内になるよう帳尻を合わせなければならないのなら、いっそ、扶養を外れてもいいように、もっと働けばよかったかな、と思った経験があります。
―確かにそうですね。扶養の範囲を出てしまうかも、そうしたら「損」してしまう、とやきもきするよりは、「損」ではないのだと割り切ってしまえばよいですね。
そういうわけで、現在は「扶養」を外れて働いているCさんですが、これまでの働き方を振り返って、良かった点はなんですか?
Cさん:それはもちろん、時間の融通が利くということですよね。専門学校に通いながら、主婦業をしながら、子育てしながら。フリーランスで活動しながら。すべては、子育てと、自分のやりたいことの両立のためです
―かっこいいですね!
Cさん:一見、ね…(笑)
でも、仕事、子育て、夫婦、どれも欲張って手にしようと今のかたちで働いているけれど、結局そううまくはいかないです。先の見通しも立たない。
―でも、お子さんが成長するまで当面は、このスタイルでいくのですよね?
Cさん:子どもが小学生になれば、保育園よりも下校時間が早かったり、夏休みや春休みがあったり、母親が働く上で「小1の壁」といわれるような新たな課題が出てきますよね。または、同居していて今はいろいろ助けてもらっている親を頼れなくなる、さらには親の介護が始まるとか、その先も長時間勤務ができない可能性は大いにあります。子どもが成長するにつれお金はますます必要になるので、わざわざ扶養内に制限して仕事したいわけではないけれど、どうせ短時間しか働けないのなら、損をしないように金銭管理をきちんとしていきたいです。
―ありがとうございました。
以上、Cさんのケースでした。
このシリーズ第1回目でお伝えしたように、10月に社会保険の適用範囲が拡大され、「130万円の壁」の手前の段階に「106万円の壁」ができました。このように今、「扶養の範囲」が変わってきています。「103万円の壁」と言われる所得税の配偶者控除についても、税制改革が国で検討されているところ。そうした制度の変更なども把握して、最適な働き方を見つけてくださいね。
<扶養内特集>
【第1回】そもそも扶養とは?10月からどう変わる?
【第2回】どれくらい働くのが得?扶養枠内で働きたいクリエイター必見!
【第3回】インタビュー編~扶養内で働いている女性デザイナーたちに聞きました
【第4回】インタビュー編No.2~扶養内で働いている女性デザイナーたちに聞きました