「扶養内で働くリアルボイス編」2人目は、3年前からイベント制作会社にパート勤務しているデザイナーのBさんです。5歳の女の子を保育園に預け、1日7時間、週3回働いていて、収入は「103万円の壁」の範囲内に収めています。パートとはいえ、担当の仕事には責任を持ち、時には出張もこなして、いきいきと働いている印象です。
目次
■今の働き方を選んだ理由
―扶養内で働いている理由はなんでしょう?
Bさん:夫は正社員なので、子育てや家事のほとんどを私が担当しています。また、子どもがまだ5歳で手がかかるので、両立するのに無理のない範囲で働こうと思い、仕事は週3回だけ働くのがちょうどよかったんです。
それに、もっとたくさん働いたところで、夫の配偶者控除のことなどを考慮したら、収入にそれほどプラスは出ないので、扶養内にしようと思いました。
―では、なぜパートで働いているのですか?
Bさん:日々の子どもの送り迎えや、急な病気などのトラブルにも柔軟に対応したいので、正社員より今はパートの方が気が楽です。結婚前にグラフィックの会社で働いていたのですが、その時から今の会社の社長と知り合いで、出産後は子育てに専念していたんですが、3年前にまた働こうと考え始めた時に、たまたま声をかけてもらったんです。
■仕事に対する考え方
―納期前に子どもの発熱などで休まないといけなくなったことなどは?
Bさん:それはありますよ。でも、基本的に前倒しで仕事をこなしているので、そういう突発の事態が起きても困るようなことはありません。それに、この3年の仕事ぶりが認められて、パートなのに自宅でのリモート作業も可能になっています。
また、残業ができないかわりに、自宅へ仕事を持ち帰ることもあります。そういう時は、申告してきちんと残業代をもらっています。
―そうして仕事に責任を持っているなら、正社員で働いてもよさそうですが…。
Bさん:同時期に入った正社員の男の子と比べて、自分の方が倍以上仕事している自負はありますよ!給料は倍以上違うのに…。
子育て中の主婦は、毎日子どものお迎えや食事の準備などの家事があるから、限られた時間内でどれだけ生産性を上げられるかが勝負。時間に対してはとてもシビアです。この業界は年俸制のところも多いし、社員とは時間の使い方に対する考え方が違いますね。でもこれで正社員になっても、子どもがいてノンビリ仕事していられないことは変わらないから、自分は時間が拘束されて、より大変になるだけです!
―すごい気迫ですね!
Bさん:はい!周りが主婦ばかりという職場環境ではないので、「女だから」「主婦で子持ちだから」とナメられないように、気合いを入れて働いているのです!
―パートにしておくのは、もったいない!
Bさん:子どもが小さいうちは、正社員で働いて両立生活をするというのは、とても厳しいのでは?と思います。しかもこの業界はとても忙しい。正社員じゃ8時間勤務に残業は当たり前、時には土日も深夜も稼働したりすることもある、という感じですよね。実際、今パートで働いている会社から、正社員にならないかという話もいただいたことがあるのですが、正社員の働き方を見ていると、家庭との両立は到底無理かなと…。
■今感じているデメリット
―扶養内におさえるため今の働き方にしているのは、メリットというよりも、デメリットを回避するためという感じですね。パートで働くことのデメリットもありますか?
Bさん:収入が増えない。やっぱりもっと稼ぎたいです。扶養内に収まるように、年末に勤務時間を調整しないといけないのもデメリットです。まあ、多少のサービス残業は仕方ないですね…。
―本音はもっと働きたいけれど、正社員になって拘束されるのは避けたいというわけですね。
Bさん:扶養の範囲が200万くらいなら、みんなもっとパートでも仕事して稼いで、フルタイムよりは勤務時間も短いので育児もできて、いいのにと思います。
もう少し子どもが大きくなって、自分のことをある程度自分でできるようになったら、また働き方は検討してみてもいいかなとも思っています。残業ナシの優良企業もあるので、「ここなら」と思えるような会社に巡り合えたら、正社員になれるようにがんばりたいです。
―ありがとうございました。
以上、Bさんの事例でした。
「もっと働きたい、けど家庭との両立を考えると難しい」「雇用形態が違うと、給料は倍以上違う」など様々な葛藤があり、バランスを取るのが大変そうな印象を受けました。しかしながら、子育てがひと段落して正社員になるべく就職活動をする時には、扶養枠でペースを抑えていても今の会社での経験が役立ちそうですね。
<扶養内特集>
【第1回】そもそも扶養とは?10月からどう変わる?
【第2回】どれくらい働くのが得?扶養枠内で働きたいクリエイター必見!
【第3回】インタビュー編~扶養内で働いている女性デザイナーたちに聞きました
【第4回】インタビュー編No.2~扶養内で働いている女性デザイナーたちに聞きました