2015年の派遣法改正により、クリエイティブ系の業務で働いている派遣スタッフについても、同一スタッフが就業できるのは原則として3年が上限と変更されました。
デザイナー・クリエイティブ職種においては、事実上、初の派遣規制となります。
今回は、「同じ派遣スタッフは3年上限」について解説します。
■「同じ派遣スタッフは3年上限」ってどういうこと?
法改正前は、一部の条件をクリアすれば、デザイナー派遣はほぼ年数制限なく受け入れが可能でした。
しかし、2015年の派遣法改正により、1人の派遣スタッフあたり上限が原則3年と変更されることになりました。
例えば、Aさんを2015年10月1日から派遣受け入れしていた場合、このAさんは満3年の2018年9月30日まで受け入れ可能です。
また、Aさんと並行してBさんを2016年1月1日から派遣受け入れした場合、このBさんも満3年の2018年12月31日まで受け入れ可能です。
尚、Aさんが2018年9月30日にて就業終了した際も、間を空けずに翌10月1日より新しい派遣スタッフの受け入れが可能です。
それでは、改正派遣法施行前から派遣で働いていた方の場合、「満3年」とはどのタイミングとなるでしょうか。
以前から派遣で働かれていた方の場合、起算日は「改正法施行後に結んだ契約の初日」となります。
つまり、2015年9月30日以降で新しく結んだ契約の初日が起算日となり、ここから満3年が働ける期間となります。
Cさんを2012年1月1日から派遣スタッフとして受け入れしている。
現在3ヶ月更新をしていて、現在の契約が2015年11月30日まで。引き続き12月1日~2016年2月29日までの契約延長が確定した。
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起算日は「2015年12月1日」となり、満3年の「2018年11月30日」までCさんの受け入れが可能。
また、この3年制限は下記3つの注意点があります。
○業務内容が変わっても、期間は通算されます
Dさんが最初の1年はデザインを、それ以降は事務仕事をしていたとしても、Dさんの働いた期間は、最初のデザインの時から通算して考えます。ですので、業務を変更したとしても、同じ派遣スタッフの方を受け入れできる期間は変更されません。
○クーリング期間は3ヶ月
満3年経過したDさんは、それ以上の就業はできません。それでは、今後一切Dさんが再びそのポジションで働くことはできないのでしょうか。
それが、この「クーリング期間は3ヶ月」です。
Dさんが満3年を迎え就業終了した後、3ヶ月以上の期間をあければ、再び同じポジションで働くことが可能になります。
(もちろん、受け入れ可能期間は再び働き始めた最初の日から3年後までです)
尚、1回の就業が3年に満たない期間で複数回働くケースでも、それぞれの就業の間が3ヶ月以内である場合は、最初の就業から期間を通算して考えることになります。
○「組織単位」での制限となります
「組織単位」はあまり聞き慣れない言葉かと思いますが、「課・部・グループ」単位と考えていただければと思います。
つまり、3年の期間制限は、「企業」や「事業所」ではなく、「課」単位での制限です。
例えば、Dさんが「制作課」で2年就業した後「営業課」で就業した場合は、「営業課」で働けるのは残り1年ではなく、新たに3年間働けるということです。
(実態として指揮命令系統等が変更されている必要がありますので、「部署を変えただけ」では難しいのでご注意ください。)
今回の改正派遣法では、上記以外にも派遣先に義務付けられた事項がいくつかあります。
これらについては次回の記事で解説したいと思います。
<2017.12.1追記>
2018年9月30日の「3年制限」が発生する日まで1年を切りました。
改めて「3年制限」についての5つのポイントと、どのように対応すべきかをまとめました。
こちらの記事も合わせてご参照ください。
【2015年改正派遣法の3年制限まであと1年!期限前に早急な対策を】